2009年6月19日(金) 生活保護国庫負担について


前回、この問題について「全力で発信したい」と書きました。実は市役所職員向けLANに「市長雑感」というコラムがあり、その時々に感じたことを発信しています。そこに13日の土曜日に参加した東京市政調査会主催の生活保護シンポジウムでの感想を載せました。
前回の内容よりも分かりやすいと思いますので、このページにも転載します。是非お読みください。

『私は就任以来、生活保護費が大阪市の厳しい財政をさらに圧迫している現状をことあるごとに各方面に訴え、その改善を求めてきました。

 ご存じのとおり、大阪市の生活保護費は、2400億円を超え、一般会計の15%を占めるなど、大きな負担となっています。さらに、昨今の経済危機に伴い、大阪市内の申請件数は対前年度比190%と大きく伸びています。

 一方で、大阪市の生活保護に対しては、「審査が甘いのではないか?」「不正受給を見過ごしているのでは?」といった見方が依然として残っており、シンポジウムでもコーディネーターの偏見を伴った発言が続きました。

 私は、市の審査が厳格に行われていること、また、保護開始後におかしいと思ったとしても調査権がないこと、そして、最前線の区役所職員が、国の基準を上回る多数の被保護者を受け持ちながら、弱い立場の人のためきっちりと対応していることなど、声を嗄らして反論しました。さらには、憲法第25条の生存権の保障に由来するものである限り、国民の最低限度の保障「ナショナルミニマム」として、本来、国の責任で実施されるべきであると主張しました。

 この点、シンポジウムに同席されていた地方財政制度審議会の木村陽子先生にも、大阪市の考え方についてご理解をいただいており、今後とも密に連絡を取らせていただきたいとお願いしてきました。

 来年度の国の施策・予算に関する大阪市としての提案、いわゆる「国家予算要望」に臨み、大阪市が最重点項目の筆頭に挙げたのも、生活保護制度の抜本改革です。

 私は、自治体の負担がこのまま続くのであれば市の財政は破綻してしまうということ、また、単に費用の問題だけでなく、そもそも、生活保護に至るまでに、雇用保険をはじめとする他のセーフティネットが機能するシステムの構築、さらに、基礎年金との逆転現象によるモラルハザードの解消など、制度疲労を起こしている社会保障全体についての改革を早急に実現するよう、大阪から声をあげ続けていきます。』

以上の内容です。これまで「市長雑感」に書いたことでも皆さんに読んでいただきたいと思うものがあれば適宜転載させていただきます。